2004年度

アルバム・ベスト10

1位  SMiLE / BRYAN WILSON
2位  CRUITHNE / BUNGEE JUMP FESTIVAL 
3位  LETTERS / BUTCH WALKER 
4位  TOO CLOSE TO SEE FAR / COSMIC ROUGH RIDERS
6位  SHADOWS COLLIDE WITH PEOPLE / JOHN FRUSCIANTE
7位  HOUSE OF THE MOLES / MINISTRY 
8位  BRAND-NEW MOTORWORKS / MOTORWORKS
9位  RAISE HANDS HIGH / NATHALIE WISE
10位  街男街女 / ORIGINAL LOVE

チューン・ベスト10

1位  MY HAPPY ENDING / AVRIL LAVIGNE  
2位  THE RADIO SAVED MY LIFE TONIGHT / BON JOVI
3位  1985 / BOWLING FOR SOUP  
4位  THE AFTER GLOW
    / JOHN FRUSCIANTE JOSH KLINGHOONER
5位  SOMEWHERE ONLY WE KNOW / KEANE 
6位  IT’S ON EVERYTHING/ LAST DAYS OF APRIL
7位  ロックンロール / くるり
8位  RUN / SNOW PATROL
9位  何と言う / 奥田民生 
10位  VERTIGO / U2 

DVD/ビデオ・ベスト

メモリアルDVD BOX / C-C-B

ライブ・ベスト3

1位  BELLE & SEBASTIAN (7/31 FUJI ROCK'04 DAY2)
2位  MOTORWORKS (12/18 渋谷AX)
3位  ASH (8/1 FUJI ROCK’04 DAY3)

 2004年を振り返る。今年も(毎年言えることだが)趣味が広がった結果になってしまったので、上記のとおり洋邦バラバラだ。当たり前だけど、思い入れの深くなるアーティストって年々増えていくんだと思う。歳も取る一方だし。反比例して、惰性でとりあえずアルバムをリリースし(ツアーに出るきっかけの為?)活動しているアーティストってそれだけ、思い入れもなくなっていくだろうし。
 とりあえず、アルバム1枚1枚語りたいと思います。今回も例によってアルファベット順に並べました。順不同です。・・・と言いたいところですが、もうブライアン・ウィルソンだけ抜きん出て別格です。詳しいことは後程。

 まず、オリジナル・ラヴですが、前作『踊る太陽』でグラムロックぽさを出し、久し振りにロックンロールを見せつけてくれたのですが、今作でも前作の良さを受け継ぎほぼ一発録りで行ったと言われるだけあって、演奏とヴォーカルの生々しさが伝わってくる好盤となっております。
曲は相変わらず良いし。それにしにても、元々上手かったけどホントに歌は上手くなったよ。聴いてて惚れ惚れします。

 ナタリー・ワイズはビッケ(トウキョウ・NO.1・ソウル・セット)、斉藤哲也、高野寛による3人組によるセカンドアルバム。元々、ノンドラムでキーボードとギターのアンサンブルに、ビッケの朗読とも言えるヴォーカルが乗っかるというもの。ヒップポップとは違いかなり前衛的なものだが、そこは高野寛がいるだけあって、ポップなサビがあるものもあります。今まではそういう感じだったのだが、常に進化し続ける彼ら。今作では遂にリズム隊にクラムボンを迎え、約30分で1曲の組曲を作ってしまったフィッシュマンズの『ロング・シーズン』へのトリビュートを行ってます。ナタリーの『レイズ・ハンズ・ハイ』も基本的には1曲なのですが、分りやすくするためにチャプターをつけてます。プログレにも通じるこのアルバムの存在感。圧倒的です。

 モーターワークスは口をすっぱくするほど、このサイトで押してきました。ディスクレビューでも語ってきたのですが、基本的にはミュージシャン活動を始め10年選手にもなり、おのおのキャリアも積んできた人達が、アマチュア時代のノリを味わいたいためにビートルズやモッズのカヴァーを始めたのがきっかけです。そこから自作を増やすために、石田&黒沢の名ソングライターが実力を発揮しているのですが、このバンドのポイントは打ち込みが皆無でロックンロールをやってるところです。個人的にはエイジアみたいような存在かなと思うのですが。(大ヒットはしませんでしたが・・・)ファーストを作って終わりかと思わせといて、まだまだ今年もやるようです。ベースの田村が本業であるスピッツが活動再開することにより、おのおのも本業を再開するでしょう。今後、どうなるのかは謎ですが暖かく見守りたいと思います。

 ミニストリーは、ナイン・インチ・ネイルズなどのインダストリアル・ミュージックの先駆け的存在。今までも『詩篇69』『ザ・マインド・イズ・ア・テリブル・シング・トゥ・テイスト』といった名作を残してきたが、ポール・ベイカーの脱退により、バンドの頭脳であるアル・ジュール・ジェンセンのソロ・プロジェクトと化してしまった。ブッシュ政権への政策批判も音楽的には吉と出て、怒り全開で先程記した全盛期のアルバムにも負けずと劣らず、正にデジタル・スラッシュとなっております。これは実に素晴らしいアルバムです。祈・来日!

 間違いなく2004年度の敢闘賞は、ジョン・フルシアンテ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)です。このアルバムから始まり、ソロ『ザ・ウィル・トゥ・デス』、アタクシアの『オートマチック・ライティング』、ソロ『DC EP』、ソロ『インサイド・オブ・エンプティネス』、ジョシュ・クリングホーナーとの『ア・スフェア・イン・ザ・ハート・オブ・サイレンス』と実に6枚ものアルバムをリリースする多作振りを発揮。この人のメロディの素晴らしさは、今までリリースされたレッチリの『カリフォルニケーション』、『バイ・ザ・ウェイ』、ソロ『トゥ・レコード・オンリー・ウォーター・フォーテン・デイズ』で証明済みです。そのどのアルバムとも負けない個性がおのおののアルバムに出ております。どのアルバムも良かったのですが、強いて言えば、今回ランクインさせているこのアルバムが一番聴いたかもしれませんね。間もなく、連続リリースを締めくくる第7弾がリリースされます。弾き語りになるとのことですが、楽しみには間違いありません。

 コズミック・ラフ・ライダーズはバーズのようなハーモニーに、極上のメロディが実に爽やかなグラスゴーのバンドであるが、リード・ヴォーカルとソングライティングを務めてたダニエル・ワイリーの脱退により窮地にたたされた。しかし、彼らはスティーブン・フレミングをヴォーカルに立て復活。個人的には、スティーブンの声の方が好みであるし、曲も好きなのでこの交代劇は大正解であった。そして、フジロック’04でも来日し素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが、メインステージであるグリーンステージはガラガラ。もっと名前を挙げて、頑張って再来日して欲しい。(心地よくて、ライブ観戦中に居眠りしたのは彼らの時だけです。)

 ブッチ・ウォーカーのこのアルバムを聴いたときはホントに裏切られたってくらい、衝撃だった。ロバート・ジョン・マット・ラング並にブッグ・プロダクションを売りにして、ボーリング・フォー・ソープ、アブリル・ラヴィーン、SR-71といったアーティストを手掛けヒット曲を生産してきた。その彼がほとんどギター1本で勝負するなんて凄く意外だった!メロディは相変わらず素晴らしいし、ソロ活動自体がプロデューサー業の成功のお陰の余興みたい様な状態が、非常に可哀想だがこれにめげずに頑張って欲しい。とりあえず、すったもんだの挙げ句3月に遂に初来日ってことで楽しみだ。

 バンジー・ジャンプ・フェスティバルは、事務所の移籍に伴うレコード会社との契約終了ってことで、ようやく新レーベル(スクーデリア・エレクトロの寺田が社長を務めるシンク・シンク・レコーズ)も決まり、遂に2年振りのアルバムをリリース。前作『ウェイストランド』で少し大人しくなったかなっという、アレンジにも初期衝動的勢いが戻り、グッド・メロディ、グッド・ギターが戻ってきた。これは是非売れて欲しいバンド。アジカンとか好きな人は試しに聴いてみて。

ここで、閑話休題。反則とも思いつつ、あと一歩及ばず他にランクインしなかったアルバムを。アッシュ『メルトダウン』、くるり『アンテナ』、高野寛『確かな光』、ワイルドハーツ『ワイルドハーツ・ストライク・バック』、レッチリ『ライブ・イン・ハイドパーク』、ミュージック『ウェルカム・トゥ・ザ・ノース』、ジミー・イート・ワールド『フューチャーズ』も良かった。企画ものではウィーザー『ブルーアルバム・デラックスエディション』、未発表曲38曲も収録したボックスセット、ボン・ジョヴィ『プレミア・コレクション』などなど。ジンジャーの『ザ・グレート・ホワイト・モンキー』は年内に入手していれば、間違いなくトップ10入りすること間違い無しの好盤だった。DVD部門は、エアやウィーザー、スピッツを押さえC-C-BのDVDボックス。彼らは確かに売れ方がアイドル的な感じだった。(実際そうだったので否定はしないが)、実際は作詞・作曲・アレンジもおのおの自ら手掛ける実力派のバンドだった。誤解を弁解しようと、好きなことをやって売れなくなって解散というありがちな道を辿ったわけだが、評論家やミュージシャン筋には非常に評価されてたバンドであった。このDVDは内容はj非常に雑だが、売れてからの初期中期後期とライブ映像、TV出演のスタジオライブと貴重な映像満載だし、発売されて4ヶ月経つのに未だによく観てる。

 そして、現在来日中のブライアン・ウィルソン。ビーチ・ボーイズの不朽の名作『ペット・サウンズ』に続いて制作され、ポップ史に残るアルバム『スマイル』がリリースされるはずだった37、8年前。レコード会社との意見の対立、ビートルズ(ポール・マッカートニー)を超えたいというプレッシャーからアルコール、ドラッグ中毒に・・・ といったことから制作を断念。隠随生活から復活し、活動が快調な90年代以降、『ペット・サウンズ』全曲演奏ツアーまでもやってしまった。ここで勢いがついたブライアン、周囲の意見(妻やヴァン・ダーク・パークス、ワンダー・ミンツ)に耳を傾け遂にオクラ入りしてたアルバムを再レコーディングを行った。全4楽章から構成されるアルバムの内、4楽章は新たに書かれたパートも含まれてる。そういった背景を抜きにしても、素晴らしいトータルアルバム、全音楽ファンは必聴です。これが当時リリースされてたら・・・ たら、ればでは語ってはいけませんが、そんなことをふと思います。グラミー賞にもノミネートされてるとか。過去に、彼は精神的にまいってしまい、いつ死んでもおかしくないくらいボロボロの状態だったので、そんな波瀾万丈の人生で彼みたいな天才が生きているうちに評価されて非常に良かったと思います。

2005/2/6